短期間に何社も申し込むと審査に落ちる。いわゆる申し込みブラックという話を目にして、もうどこからも借りられないのではと不安になっている方は多いと思います。
先に結論をお伝えします。2社までであれば、まず問題になりません。3社以上を立て続けに申し込むと不利になることはありますが、それでも半年待つ必要はないというのが、当サイトが中小消費者金融の審査担当者に取材して得た答えです。
ある担当者は、こう話していました。
「1度に3社以上申し込むと審査に通らない、なんて気にしていたら、うちみたいな中小は貸す相手がいなくなっちゃうよ」
この記事では、申し込みブラックと呼ばれる状態が実際にはどういうものなのか、大手と中小で扱いがどう違うのか、そして件数以外に審査で本当に見られているものは何かを整理します。
なお、この記事は金融庁、日本貸金業協会、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)、一般社団法人日本クレジット協会、一般社団法人全国銀行協会、お金を借りる相談所に寄せられた口コミをもとに執筆しています。
本記事の監修者:南 圭介(ファイナンシャルプランナー、日本FP協会所属)
※当コンテンツの内容はお金を借りる相談所に寄せられた口コミと取材による独自の見解です。審査通過を保証するものではないことを予めご了承ください。
申し込みブラックとは何か
消費者金融やクレジットカードに申し込むと、その事実が信用情報機関に記録されます。実際に契約したかどうかに関係なく、申し込んだという記録だけが残る仕組みです。
この情報を申込情報と呼び、保存期間は6ヶ月間。他社が審査の際に照会すれば、あなたが直近でどこに何件申し込んだかを見ることができます。
短期間に申し込みが集中していると、この記録が並びます。審査する側から見れば、よほど資金繰りに困っているのではないか、あるいは他社が断った理由が何かあるのではないか、という見方をされる。これが申し込みブラックと呼ばれている状態です。
ただし、ブラックリストという名簿がどこかに存在するわけではありません。信用情報に申込記録が並んでいる状態を、便宜的にそう呼んでいるだけです。延滞や債務整理による事故情報とは、まったく別のものだと考えてください。
事故情報が5年ほど残るのに対して、申込情報は6ヶ月で消えます。しかも、消えるのを待たなければ借りられないというわけでもありません。そのあたりを、次の項目で説明します。
大手と中小で、申込件数の扱いは違う
申し込みブラックという話が広まった背景には、大手消費者金融の審査のしくみがあります。
大手消費者金融はスコアリングで申込件数を見る
プロミスやアコム、アイフルといった大手は、膨大な数の申し込みを処理するために自動のスコアリングを導入しています。申込者の年収、勤務先、勤続年数、信用情報を点数化して、基準に届かなければ自動的に否決という流れです。
このしくみのなかでは、短期間に何社も申し込んでいる人はデータ上のリスクとして扱われます。ひとりずつ事情を聞くより、一律に弾いたほうが効率がいいからです。
申し込みブラックという言葉が生まれたのは、この大手の基準を前提にしているためです。大手を想定するかぎり、この話はおおむね当たっています。
中小消費者金融は担当者が個別に判断する
一方、中小消費者金融の審査は、担当者が申込内容と信用情報を直接確認したうえで判断します。電話でのヒアリングを重視しているのも、そのためです。
大手と同じ基準で弾いていたら、そもそも顧客がいなくなってしまう。冒頭で紹介した担当者の言葉は、そういう事情を率直に表しています。
当サイトが取材したある担当者は、申込件数についてこう説明していました。
「申し込み件数が5件だろうが10件だろうが、それだけで落とすことはまずありません。知りたいのは、なぜそれほど申し込む必要があったのかということと、今うちが貸して返せる状態にあるかという2点だけです」
つまり中小の審査において、申込件数は参考情報のひとつにすぎません。何社も断られたという事実は、担当者から見れば「大手の基準では弾かれたが、自社なら対応できるかもしれない相手」という意味にもなります。
申し込みブラックで半年待つ必要はない
申込情報が消えるまで半年待つ。これは大手を前提にした場合には理にかなった助言です。
ただ、この記事を読んでいる方の多くは、今まさに支払いが迫っている状況だと思います。家賃、公共料金、他社への返済。半年後まで待てる性質のものではないはずです。
申込件数を理由に半年動かないでいるあいだに、延滞が発生して信用情報に事故情報が記録されれば、そちらのほうがはるかに重い問題になります。事故情報は5年残るからです。
中小消費者金融であれば件数だけで門前払いされることはない。この事実を知っていれば、待つ以外の選択肢が見えてきます。
中小の担当者が実際に見ているもの
件数を重視しないのであれば、担当者は何を見て判断しているのか。取材で共通して挙がったのは、過去の履歴ではなく現在の状況でした。
審査で見られるのは収入と支出のバランス
まず確認されるのが、収入と支出のバランスです。
手取りでいくら入ってくるのか。家賃や光熱費、通信費を引いて、自由に使える金額がいくら残るのか。そこから毎月の返済に回せる余裕があるのか。
判断はこの順序で進みます。申込件数が多くても、ここがクリアできていれば「資金を探して動き回っていただけで、返済の原資はある」と評価されます。
逆に、申し込みが1件しかなくても、収入に対して固定費が重すぎる場合は難しくなります。件数の少なさは、返済能力の証明にはならないということです。
他社への返済状況が最も重視される
現在借りている分を、期日どおりに返せているかどうか。ここは件数以上に重く見られます。
複数社から借りていても遅れずに返済している人は、返済管理ができていると判断されます。一方、1件しか借りていなくても延滞が続いている場合は、どの業者でも審査は通りません。
過去に延滞したことがあるかどうかより、今遅れていないかどうか。これが分かれ目になります。
過去の事故歴より現在の勤務状況
債務整理や自己破産の記録についても、中小の担当者は冷静に見ています。
信用情報に記録が残っていることが有利に働くわけではありません。ただ、そこで機械的に切り捨てるのではなく、今は定職に就いているか、収支は安定しているかを確認したうえで判断します。
ある担当者は、次のように話していました。
「2年前の自己破産より、今の勤続年数が1年あること。3年前の延滞より、直近2ヶ月の給与明細が安定していること。私たちが見ているのは、古いデータより今の生活の状態です」
過去を消すことはできませんが、今の勤務状況と収支を示すことはできます。中小消費者金融の審査では、そちらのほうが評価の対象になります。
件数以外の、本当の否決理由
件数で足切りされないのであれば、なぜ落ちる人がいるのか。理由は申し込んだことそのものではなく、申し込んだ結果として見えてしまった返済能力の不足にあります。
当サイトに寄せられた相談を見ていくと、否決の原因はおおむね2つに絞られます。
総量規制の上限を超えている
貸金業者は、年収の3分の1を超える貸付けができません。貸金業法で定められた総量規制です。
年収300万円なら100万円、年収400万円なら約133万円。これが他社を含めた借入の合計における上限になります。
すでに上限近くまで借りている状態で新たに申し込んでも、何件目であろうと通りません。これは審査の厳しさや担当者の判断ではなく、法律の問題です。業者側が貸したくても貸せません。
申込履歴が並んでいるのを見た担当者が、他社の借入状況を照会して「この人はもう上限まで借りている」と分かれば、そこで終わります。件数が原因のように見えて、実際は総量規制に引っかかっているケースは少なくありません。
自分があといくら借りられるのかは、年収と現在の借入額から計算できます。
収支のバランスが成立していない
もうひとつが、毎月の収支です。
たとえば手取り20万円の方で、家賃が8万円、他社への返済が5万円あるとします。ここからさらに3万円を借りると、返済額は月6万円を超えてきます。残るのは6万円ほど。ここから食費、光熱費、通信費、交通費をまかなうのは現実的ではありません。
担当者はこの計算を必ず行います。そして「この収支で貸せば、来月には返済が回らなくなる」と判断すれば、否決になります。
これは意地悪をしているわけではなく、返せない人に貸せば双方が困るからです。貸金業法でも、返済能力の調査は業者の義務とされています。
つまり審査に落ちた理由が知りたいのであれば、申込件数を数えるより、自分の収支を計算し直したほうが早いということです。総量規制に余裕があるか、今の手取りから毎月いくら返済に回せるか。この2つを確認すれば、次に何をすべきかが見えてきます。
何社まで、どう申し込むべきか
ここまでを踏まえて、実際の申し込み方を整理します。
同時に申し込むなら2社まで
1社ずつ順番に申し込むと、結果が出るまで待つ時間がそのまま積み上がります。審査に3日かかる業者で2回落ちれば、それだけで1週間近く過ぎてしまう。支払いが迫っている状況では、この時間が致命的になります。
同時に2社へ申し込めば、どちらかに通る可能性が上がりますし、時間も半分で済みます。当サイトに寄せられた体験談でも、2社に同時申込みして片方から融資を受けられたケースは珍しくありません。
避けたいのは、1ヶ月のうちに3社以上へ申し込むことです。中小であれば件数だけで否決されることはないとはいえ、記録が並ぶこと自体が有利に働くわけでもありません。まず2社に絞り、結果を見てから次を考えてください。
中小消費者金融の組み合わせ方
同時に申し込むなら、審査の傾向が違う2社を選ぶのが効率的です。似た基準の業者を並べると、両方に落ちる可能性が高くなります。
大手であれば、プロミス、アコム、アイフルのうち2社。最初に連絡が来たところで契約すれば済みます。
信用情報に不安がある場合は、中小消費者金融が選択肢になります。ただし中小のなかでも審査の傾向には差があり、セントラルといつもは他の中小と比べて慎重な部類に入ります。この2社だけを並べると、どちらも通らないことがあります。
組み合わせるなら、次のような形が現実的です。
前者で枠の大きさを狙いつつ、後者で可能性を確保するという考え方です。
申込件数が多い理由は正直に伝える
中小消費者金融では、審査の過程で電話によるヒアリングがあります。ここで申込件数について聞かれることがありますが、隠す意味はありません。信用情報を照会すれば、どこに何件申し込んだかは把握されているからです。
事実と違う申告をすると、審査以前の問題として信頼を失います。担当者からすれば、分かる嘘をつく相手に返済を任せられるかという判断になります。
急な出費が重なって焦ってしまい、大手に数社申し込んで断られた。ただ、今は仕事も安定しているので、月々いくらなら確実に返せる。こう伝えられれば、自分の状況を把握できている相手として扱われます。
借入希望額は必要最低限に絞る
複数社に断られている状態で高額を希望しても、通る見込みは低くなります。金額が大きいほど、貸す側のリスクも大きくなるためです。
まずは5万円から10万円程度、今の収入で数ヶ月のうちに返せる金額で申し込むことをおすすめします。少額であれば業者側の負担も軽く、審査のハードルは下がります。
そして一度借りて期日どおりに返済すれば、その業者のなかで実績が積み上がります。追加で必要になったときは、そのあとに相談すればいい話です。
申し込みブラックについてよくある質問
申込情報が消えるまで、本当に半年待たなければいけませんか?
大手消費者金融に申し込むのであれば、待つ意味はあります。ただ中小消費者金融の場合、件数だけで否決されることはないため、今すぐ申し込んでも構いません。支払いが迫っているのなら、半年待つあいだに延滞が発生するリスクのほうが大きくなります。
同じ日に2社へ申し込むのと、1日ずつずらすのでは違いますか?
結果はほとんど変わりません。申込情報は日付とともに記録されるので、1日ずらしたところで両方とも見えています。むしろ同じ日に申し込んだほうが、結果が早く出るぶん有利です。
すでに5社に申し込んで全部落ちています。もう無理でしょうか?
件数そのものが理由ではない可能性があります。総量規制の上限を超えていないか、今の収入に対して返済額が重すぎないかを確認してみてください。この2つに引っかかっている場合、6社目に申し込んでも結果は同じです。逆に、どちらもクリアしているのであれば、中小消費者金融で審査を受けられる可能性は残っています。
審査に落ちた記録も信用情報に残りますか?
否決になった事実そのものは記録されません。残るのは申し込んだという記録だけで、その結果までは登録されない仕組みです。ただし、申込記録が並んでいれば、そのあと契約に至っていないことは他社にも推測されます。
クレジットカードの申し込みも件数に含まれますか?
含まれます。クレジットカードもキャッシング枠がある場合は貸金業の対象になるため、申込情報として記録されます。カードローンとカードを短期間に複数申し込むと、件数としては合算されると考えてください。
まとめ
申し込みブラックという言葉は、大手消費者金融の審査を前提に広まったものです。スコアリングで機械的に判断する大手であれば、件数が不利に働くのは事実です。
一方、担当者が個別に確認する中小消費者金融では、件数はあくまで参考情報にすぎません。見られているのは、今の収入で返済できるかどうか、他社への返済が滞っていないかという点です。
そして審査に落ちる本当の理由は、多くの場合、総量規制の上限か、毎月の収支が成立していないかのどちらかにあります。件数を数えるより、この2つを確認するほうが次の一手につながります。
同時に申し込むなら2社まで。審査の傾向が違う業者を組み合わせて、希望額は必要最低限に。この3点を押さえて、落ち着いて手続きを進めてください。

