スマートフォンの端末代金、メルペイやペイディなどの後払いサービス、Amazonの仮カード。どれも借金だという意識がないまま使っている方が多いのですが、支払いが滞れば信用情報に記録されます。
毎月の支払いが1,000円程度だから大丈夫だろう。そう考えて放置した結果、クレジットカードを作れなくなったという相談は珍しくありません。
この記事では、知らないうちに信用情報を傷つけてしまう契約と、何日遅れると記録されるのか、そして支払えないときにどうすべきかを整理します。
なお、この記事は株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、一般社団法人全国銀行協会の公表内容に加え、金融庁、日本貸金業協会、一般社団法人日本クレジット協会、お金を借りる相談所に寄せられた口コミをもとに執筆しています。
本記事の監修者:南 圭介(ファイナンシャルプランナー、日本FP協会所属)
信用情報に記録される契約は借金だけではない
信用情報に記録されるのは、消費者金融やクレジットカードだけではありません。次のような契約も対象になります。
携帯電話・スマートフォンの端末代金
端末を分割で購入した場合、それは割賦販売契約にあたります。つまり、代金を立て替えてもらって分割で返す契約です。
通信料金と合算して請求されるため、自分が分割払いをしているという自覚を持ちにくい。ここが厄介なところです。
通信料金だけの滞納であれば信用情報には登録されませんが、端末代金の部分が滞れば記録されます。毎月の請求書を見ても、どちらがいくらなのか分からないという方は少なくないでしょう。
後払いサービス
メルペイスマート払い、ペイディ、ZOZOのツケ払い。買い物の代金を翌月にまとめて支払う仕組みが広く使われるようになりました。
アプリで簡単な手続きをすればすぐ使えますし、手元にお金がなくても購入できます。便利なのは確かですが、これも後払い、つまり借金です。
メルペイの場合、運営する株式会社メルペイはCICに加盟しています。支払いが滞れば、クレジットカードと同じように延滞として記録されます。
仮カード・即時発行のカード
Amazonテンポラリーカードのように、本カードが発行されるまで使える仮カードがあります。
利用額が3万円までで、Amazonでしか使えない。そう聞くと軽く感じられますが、クレジットカードであることに変わりはありません。支払いが滞れば、当然記録されます。
その他の分割払い
テレビショッピングや訪問販売での分割購入、家電の分割払いも同様です。
賃貸物件を借りる際の家賃保証会社との契約も、信販系の会社であれば信用情報に登録されます。家賃の滞納が記録として残るということです。
共通しているのは、代金を後から払う約束をしているという点です。金額の大小に関わらず、その約束を守れなければ記録として残ります。
スマホ代の延滞でクレジットカードが作れなくなった実例
毎月1,000円の支払いが、5年間の記録につながった事例を紹介します。
端末代金の延滞でCICに異動情報が登録された(19歳女性)
東海地方に住む大学2年生の女性。ショッピングモールで買い物をするためにクレジットカードを申し込んだところ、審査に通りませんでした。
理由は教えてもらえません。カード会社は審査結果の理由を開示しないためです。
思い当たることがあった彼女は、CICへ信用情報の開示を請求しました。そこで目にしたのが、支払い状況の欄に記載された「異動」の2文字でした。
毎月1,000円の分割払いが記録された経緯
きっかけは、高校2年生のときに初めて購入したスマートフォンでした。
3万円近い端末を、毎月1,000円の24回払いで契約。スマートフォンを持つことに反対していた両親を、自分で支払うからと説得して手に入れたものでした。
毎月届く振込用紙にしたがって入金していましたが、大学に入学した頃から振り込みが滞り始めます。最終的には大学1年の10月に残額をすべて支払い、完済しました。
ところが、支払いが滞っていた7月の時点で、すでに信用情報には記録が登録されていたのです。
「毎月1,000円の支払いだからと思って、甘く考えていました」
完済すれば消えるものだと思っていた。そう振り返っています。
完済しても5年間は記録が消えない
ここが最も誤解されている点です。
延滞を解消しても、記録がすぐに消えるわけではありません。CICの場合、契約が終了してから5年間は登録され続けます。
この5年間は、クレジットカードの新規契約はもちろん、すでに持っているカードの利用も停止される可能性があります。銀行のカードローン、住宅ローン、マイカーローンの審査にも影響します。
最近では賃貸物件の契約でも、家賃保証会社が信用情報を照会するケースが増えました。就職や進学のタイミングで部屋を借りられない、という事態も起こりえます。
毎月1,000円の支払いを軽く考えた結果としては、あまりにも重い代償だと言えるでしょう。
スマホ代や後払いは何日遅れると信用情報に記録されるのか
支払いが1日遅れただけで記録されることはありません。登録には基準があります。
延滞が登録される日数の基準
携帯端末の分割払いや後払いサービス、クレジットカードは、その多くがCICに登録されています。CICの基準は、支払日から61日以上、または3か月以上の延滞です。
消費者金融からの借入などが登録されるJICCでは、ファイルの種類によって条件が変わります。貸金業者からの借入が登録されるファイルDでは3か月以上、クレジットカードや金融機関との契約が登録されるファイルMでは61日以上または3か月以上です。
つまり、最も早く記録される基準は61日。支払日からおよそ2か月というラインが目安になります。
逆にいえば、2か月以内に支払えば事故情報としては記録されません。うっかり忘れた程度であれば、気づいた時点で入金すれば問題にはなりません。
強制解約は3か月程度
延滞をさらに放置すると、契約そのものを打ち切られます。
携帯電話の場合、3か月ほどで強制解約になるのが一般的です。この強制解約も事故情報として記録されるため、延滞と強制解約の両方が残ることになります。
クレジットカードも同様です。支払いが遅れると数日で利用停止となり、督促に応じないまま一定期間が経過すると強制解約されます。
何度も遅れると別の問題が起きる
1か月以内に支払っていれば事故情報にはなりませんが、それを繰り返すのは別の話です。
信用情報には、過去の入金状況が月ごとに記録されています。CICであれば24か月分、JICCであれば12か月分。支払いが遅れた月には、その旨が記号として残ります。
事故情報の登録には至っていなくても、遅れた記録が並んでいれば、審査では不利に働きます。支払いが安定していない相手だと判断されるためです。
また、携帯電話会社も繰り返しの延滞には対応を厳しくします。分割払いでの端末購入を断られる、といったことが起こりえます。
事故情報の登録条件と記録期間については、以下の記事で詳しく解説しています。
→ ブラックリストは何年で消える?信用情報の登録期間と起算日
信用情報に延滞が記録されるとどうなるか
記録が残っているあいだは、金融に関わる契約の多くが制限されます。
影響を受ける取引の一覧
具体的には、次のような場面で影響が出ます。
- クレジットカードの新規契約
- すでに持っているクレジットカードの利用停止
- 銀行のカードローン、消費者金融からの借入
- 住宅ローン、マイカーローンの審査
- スマートフォンや家電の分割払い
- 後払いサービスの新規利用
- 賃貸物件の契約(家賃保証会社が信販系の場合)
キャッシュレス決済が当たり前になった今、クレジットカードが使えない状態はかなり不便です。カードを持っていることを前提にしたサービスも増えています。
さらに困るのが、すでに持っているカードまで止まる可能性があることです。カード会社は定期的に利用者の信用情報を確認しており、これを途上与信と呼びます。ここで他社の延滞が判明すれば、利用停止や強制解約となることがあります。
家を買う、車を買うタイミングで効いてくる
延滞の記録は、5年間残ります。
20代でスマホ代を延滞した場合、記録が消えるのは20代後半から30代前半です。ちょうど結婚、住宅購入、車の買い替えといった、大きな買い物を検討する時期と重なります。
住宅ローンの審査では、信用情報が必ず確認されます。この時期に記録が残っていれば、審査には通りません。数万円の延滞が、数千万円の買い物を数年遅らせることになります。
記録が消えるのは完済から5年
延滞を解消すれば、その事実は記録として更新されます。ただし記録そのものは、契約が終了してから5年間残ります。
ここを誤解している方が多いのですが、延滞を解消した日から5年ではありません。分割払いの契約が終了した日、つまり完済した日から5年です。
延滞したまま契約を続けている場合、そもそもカウントが始まりません。早く消したいのであれば、まず延滞分を支払って契約を終わらせることが先決になります。
スマホ代や後払いを支払えないときの対処法
支払いが難しいと分かった時点で動けば、記録を避けられる可能性があります。
まず契約先へ連絡する
最初にすべきなのは、携帯電話会社やサービスの提供元へ連絡することです。
支払いが遅れそうだと伝えれば、支払期日の延長や分割での支払いに応じてもらえることがあります。携帯電話会社であれば、契約者向けの相談窓口が用意されています。
督促を無視したまま放置するのと、事情を伝えて相談するのとでは、その後の扱いがまったく違います。連絡が取れない相手に対しては、会社側も手続きを進めるしかありません。
61日というラインを意識する
事故情報として登録されるのは、支払日から61日以上の延滞です。裏を返せば、この期間内に解消できれば記録は残りません。
つまり、優先順位としては次のようになります。
- まず、延滞している支払いが何日目なのかを確認する
- 61日を超えそうなものから先に解消する
- 間に合わないなら、契約先へ連絡して相談する
複数の支払いが重なっている場合、すべてを同時に解決しようとすると動けなくなります。期限が近いものから順に片付けるほうが現実的です。
公的な制度を確認する
生活そのものが立ち行かない状況であれば、公的な支援を検討してください。
生活に困っている方向けの相談窓口が、各市区町村に設置されています。自立相談支援機関と呼ばれるもので、家計の立て直しや就労の支援、住居確保給付金の案内などを受けられます。窓口は市区町村の福祉担当課、または社会福祉協議会です。
社会福祉協議会では、緊急小口資金という制度もあります。一時的に生活費が不足した場合に、少額を無利子で借りられる仕組みです。ただし審査に時間がかかるため、今日明日の支払いには間に合いません。
それでも足りない場合
公的制度の要件に当てはまらない、あるいは審査を待つ時間がない。そういう状況で、どうしても61日というラインが迫っているのであれば、正規の貸金業者から借りるという選択肢もあります。
延滞を記録されてしまうと、その後5年間は新たな借入もクレジットカードの契約も難しくなります。数万円の支払いのために5年を失うより、いったん借りて解消するほうが合理的な場合はあります。
ただし、借りたお金にも返済が必要です。今の収入で返せる金額かどうかを確認したうえで判断してください。
なお、審査なしで貸すと宣伝している業者は違法です。正規の貸金業者は貸金業法で返済能力の調査が義務づけられているため、審査なしということはありえません。SNSやダイレクトメッセージで勧誘してくる相手も同様です。
スマホ代を延滞したあとにセントラルで借りられた事例
延滞を解消したうえで申し込み、審査に通った方の体験談を紹介します。
28歳・男性、神奈川県。フリーターとして勤続6年、年収220万円。賃貸アパートで一人暮らしをしています。スマートフォンの端末代金を延滞した経験があり、申し込みの半年ほど前に支払いを終えていました。
「新型コロナに感染して入院し、そのあいだ仕事ができなかったのでお金が本当にありませんでした。それでキャッシングを検討したのですが、スマホ代を延滞したことがあって審査に通るか不安だったんです」
「ブラックでも借りられる審査面を考えると、中小の消費者金融がいいのかなと思いました。ネットで調べてみると、セントラルは延滞歴があっても借りられて、フリーターでも利用している方が多いようだったので申し込みました」
「無利息期間が30日間あるのも、地味に凄いなと思って決め手になりましたね」
「即日融資もできればしたかったのですが、申し込みの締切が午後2時までだったので今回は間に合いませんでした。審査と在籍確認は申し込み後1時間ほどで終わって、無事に融資可決のメールが来ています」
借入額は10万円。中小消費者金融という点に不安もあったものの、審査や振込の対応は大手と変わらないスピードだったと振り返っています。
セントラルの審査や在籍確認について詳しくは以下記事でご確認ください

延滞を解消してから申し込んでいる
この事例で注目したいのは、申し込みの時点で延滞がすでに解消されていた点です。
現在進行形で延滞している状態では、どの消費者金融でも審査は通りません。信用情報を照会すれば、支払いが滞っていることは分かるからです。
一方、延滞を解消していれば、記録が残っていても審査の対象になります。中小消費者金融では、過去の履歴よりも現在の収入や返済能力を重視する傾向があるためです。
勤続年数が評価される場合もある
もうひとつ、この方は勤続6年という実績を持っていました。
フリーターや非正規雇用は、正社員と比べて審査で不利になりがちです。ただし、同じ職場で長く働いているのであれば、その点は評価されます。正社員でも勤続数ヶ月であれば、審査では慎重に見られることになります。
雇用形態だけで判断されるわけではない、ということです。
派遣社員や契約社員の審査については、以下の記事で詳しく解説しています。
スマホ代の延滞に関するよくある質問
通信料金だけの滞納でも信用情報に記録されますか?
記録されません。信用情報に登録されるのは、端末代金の分割払いのように割賦販売契約にあたる部分です。ただし、携帯電話会社どうしで不払いの情報を共有する仕組みがあるため、他社へ乗り換える際に契約を断られることがあります。
自分が端末を分割で買ったかどうか分かりません。
毎月の請求内訳を確認してください。端末代金の分割払いがある場合、通信料金とは別の項目として記載されています。契約時の書類や、各社のマイページでも確認できます。分割で購入していれば、信用情報に登録されていると考えてください。
メルペイやペイディも記録されますか?
されます。これらは後払い、つまり代金を立て替えてもらう契約です。運営会社は信用情報機関に加盟しているため、支払いが滞れば延滞として登録されます。少額だから対象外ということはありません。
完済すれば記録は消えますか?
すぐには消えません。CICの場合、契約が終了してから5年間は記録が残ります。完済した時点から5年と考えてください。延滞したまま契約が続いている場合は、そもそもカウントが始まりません。
自分が記録されているか確認する方法はありますか?
信用情報機関へ開示請求をすれば確認できます。携帯端末の分割払いや後払いサービスはCICに登録されているので、まずはCICへ請求してください。インターネットからであれば手数料は500円で、その場で結果を確認できます。ただしマイナンバーカードが必要です。
家族が契約者の場合、自分の信用情報に影響しますか?
影響しません。信用情報は契約者本人の記録です。ただし、家族の契約で自分が保証人になっている場合は、その契約が自分の記録として登録されます。
まとめ
スマートフォンの端末代金、メルペイやペイディなどの後払いサービス、Amazonの仮カード。いずれも代金を後から支払う契約であり、滞れば信用情報に記録されます。
登録される基準は、支払日から61日以上または3か月以上の延滞です。2か月以内に解消できれば記録は残りませんが、そこを過ぎると5年間残り続けます。しかも起算日は、完済した日から5年です。
毎月1,000円の分割払いを軽く考えた結果、クレジットカードが作れなくなったという事例を紹介しました。金額の大小は関係ありません。
支払いが難しいと分かったら、まず契約先へ連絡してください。期日の延長や分割に応じてもらえることがあります。生活そのものが苦しいのであれば、市区町村の相談窓口で公的な支援を確認するという方法もあります。
放置することだけは避けてください。61日という期限は、動けば間に合う長さです。

