国税庁が平成30年に公表した「民間給与実態統計」と総務省統計局の「労働力調査(詳細集計)2019年(令和元年)平均(速報)」をもとに日本人の平均年収をご紹介します。
このデータは平成30年と令和元年のものなので、令和2年の新型コロナウイルスによる経済危機の影響は考慮されていません。
しかし、来年度の給与ベアアップの見送りが報道されている(※3月14日時点)ので今後は平均年収の低下も予想されます。
当サイトの編集長は九州の地方都市に住んでいるのですが、観光関連の落ち込みは相当なものです。これからの経済状況が心配されます
日本人全体の平均年収は441万円
平成26年12月31日時点での給与所得者数は5,026万人で、その平均給与は441万円となっています。
前年度より8.5万円の増加となっているので、国の経済政策の効果が出ているようです。
ただし、この数字は大企業、中小企業、正社員、非正規雇用、男性、女性、年令等考慮していない平均給与額なのでご自身の年収と随分と違うなあと思われる方もいらっしゃると思います。
男女別の平均年収|男性は545万円女性は293万円
男性と女性とで平均年収に大きな差があります。これは女性のほうがより非正規雇用での就労が多いためです。
女性が非正規雇用になる大きな理由が出産と子育てです。
出生率が下がり続けいている現状を考えると国や地方公共団体の更なる支援が必要だと思います。
雇用形態別の平均年収|正規雇用は年収504万円、非正規雇用は年収179万円
正規と非正規の所得差はなんと325万円です。
非正規雇用の労働者人口に占める割合は約38%で、遠くない将来は50%を越えるといわれています。
この所得格差は格差社会を産み社会不安を醸成しているように感じます。未来の日本の子供たちのためにも富の再配分を見直して、格差を是正していくことを望みます。
業種別平均年収
平均年収 | 441万円 |
---|---|
建設業 | 501.5万円 |
製造業 | 519.5万円 |
卸売業・小売業 | 383万円 |
宿泊業・飲食サービス業 | 250.6万円 |
金融業・保険業 | 631.3万円 |
不動産業・物品賃貸業 | 445.9万円 |
熱供給・水道業・電気・ガス | 759万円 |
運輸業・郵便業 | 444.6万円 |
情報通信業 | 622.4万円 |
医療・福祉 | 397.2万円 |
学術研究・専門・技術サービス・教育・学習支援業 | 497.9万円 |
複合サービス事業 | 437万円 |
サービス業 | 363.3万円 |
農林水産・鉱業 | 311.6万円 |
上記の表を見ると、飲食サービス業やサービス業が平均年収より極端に少なくなっています。
昨今問題となったブラック企業もその多くがこの飲食サービス業やサービス業でした。
年齢別平均年収
年代 | 全体の平均 | 男性 | 女性 |
---|---|---|---|
平均 | 441万円 | 545万円 | 293万円 |
10代 | 137万円 | 162万円 | 114万円 |
20~24 | 267万円 | 284万円 | 249万円 |
25~29 | 370万円 | 404万円 | 326万円 |
30~34 | 410万円 | 470万円 | 315万円 |
35~39 | 448万円 | 528万円 | 314万円 |
40~44 | 476万円 | 581万円 | 319万円 |
45~49 | 502万円 | 635万円 | 313万円 |
50~54 | 529万円 | 682万円 | 322万円 |
55~59 | 520万円 | 686万円 | 298万円 |
60~64 | 416万円 | 537万円 | 242万円 |
65~69 | 326万円 | 410万円 | 211万円 |
70~ | 306万円 | 382万円 | 206万円 |
年齢を重ねるごとに給与が増えていくのが、従来の日本企業の給与体系でした。その恩恵を受けているであろう50代以上のバブル世代から団塊世代の給与水準は高くなっています。
一方で、就職氷河期世代の35歳〜45歳の給与の伸びが低く押させられています。
また、労働人口の40%を占める非正規雇用の場合、年齢を重ねても給与水準はほとんど変わりません。むしろ雇い止めの恐怖さえあります。
ライフイベントは年とともに多額のお金が必要になります。ここでも正規と非正規の格差が浮かび上がってきます。
まとめ
日本人の平均給与について国税庁の統計調査資料をもとにご紹介しました。
いかがだったでしょうか?これをご覧になって自分の年収は平均よりも上だ下だと一喜一憂されたでしょうか。それとも人は人、自分は自分とおもったでしょうか。
日本は雇用形態の変化で、急速に格差が広がっています。歴史を見ても貧富の格差が広がると社会が不安定化します。行き場のない不満や鬱憤が思わぬ形ではじけてしまうこともあります。
国や地方公共団体をはじめ企業経営者、また働く人たちもこの点を十分理解してよりよい発展と個人の幸福を追求できる社会を担っていきましょう。