普通自動車の運転免許を取得するには、大きく分けて次の2つの方法があります。
- 教習所を卒業して技能試験が免除され、運転免許センターで学科試験のみを受験する方法
- 運転免許センターで仮免許を取得し、技能試験・学科試験の両方を受験する方法(いわゆる一発試験)
現実的には、多くの人が教習所を利用して免許を取得しています。一発試験は受験料こそ安いものの、合格率は5%前後と低く、複数回受験する人が大半です。そのため、時間や費用のトータル負担を考えると、教習所経由が一般的な選択肢となっています。
さらに2025年4月からは制度改正により、普通車MT免許は一度AT限定を取得した後に「限定解除教習」を受ける流れへと変わりました。この影響もあり、全体的に教習料金が上昇傾向にあります。
この記事では、もっとも一般的な「教習所を卒業して学科試験のみを受ける」ルートを前提に、AT限定・MT免許の費用相場を都道府県別に一覧化して解説します。費用の目安を知っておくことで、教習所選びや入校時期を検討する際の参考にしていただけます。
2025年4月以降の制度変更による影響
2025年4月1日より、MT免許の取得には旧来のような教習を直接MT車で行う方法ではなく、以下の流れに変わりました。
- まずAT限定免許を取得
- その後、AT限定解除教習(MT車で最短4時限)を受ける
- 卒業後、限定解除の技能審査に合格すればMT免許に切り替え可能
この新制度への変更により、AT限定免許+限定解除の流れを取るケースが増え、従来のMTコースがなくなっている教習所もあります。ただし、一部の教習所では移行期間として従来のMTコースも継続されている場合があります。
さらに、制度改正の影響により、AT限定免許・MT免許・限定解除のいずれも、平均的に教習所の料金が上昇傾向にある点には要注意です
運転免許の取得費用の相場
運転免許を取得する際に必要な費用は、大きく分けて以下の2つです。
- 教習所卒業後に運転免許センターで支払う費用(学科試験料・交付料など、約5,000円前後)
- 教習所で支払う費用(学費・教習料・検定料など)
教習所で支払う費用の相場(2025年現在の目安)
◆ AT限定免許の場合
◆ MT免許(新制度適用後)
従来はATとMTの差額は約2万円前後でしたが、新制度では「AT取得費用+限定解除の追加費用」という形になるため、従来より高くなる傾向があります。
追加で発生する可能性のある費用
追加で発生する可能性のある費用
- 仮免許試験や技能検定に不合格の場合:再受験料や補習料が必要になり、1回あたり数千円〜1万円程度かかります。
- 限定解除に伴う追加費用:AT限定からMTに切り替える際、技能教習(最短4時限)が必要です。教習所によっては5,000円〜4万円程度の追加費用がかかる場合があります。
- オプション料金:夜間・休日教習の追加料金や、キャンセル料なども発生する場合があります。事前に料金体系を確認しておくことが重要です。
都道府県別免許取得費用
都道府県 | AT(通学・平均) | MT(通学・平均) |
---|---|---|
北海道 | 305,242円 | 321,669円 |
青森県 | 257,565円 | 270,490円 |
岩手県 | 289,481円 | 303,885円 |
宮城県 | 296,730円 | 312,309円 |
秋田県 | 303,340円 | 319,325円 |
山形県 | 294,490円 | 309,821円 |
福島県 | 306,583円 | 321,528円 |
茨城県 | 285,710円 | 299,258円 |
栃木県 | 276,249円 | 291,241円 |
群馬県 | 302,357円 | 316,443円 |
埼玉県 | 287,959円 | 301,518円 |
千葉県 | 276,375円 | 289,347円 |
東京都 | 306,886円 | 321,426円 |
神奈川県 | 296,842円 | 311,391円 |
新潟県 | 302,310円 | 318,921円 |
富山県 | 304,729円 | 311,119円 |
石川県 | 292,271円 | 307,987円 |
福井県 | 312,323円 | 317,926円 |
山梨県 | 273,766円 | 289,035円 |
長野県 | 289,605円 | 307,264円 |
岐阜県 | 298,000円 | 315,078円 |
静岡県 | 306,502円 | 320,264円 |
愛知県 | 326,596円 | 342,971円 |
三重県 | 304,012円 | 316,912円 |
滋賀県 | 294,008円 | 310,574円 |
京都府 | 268,186円 | 282,132円 |
大阪府 | 290,346円 | 305,720円 |
兵庫県 | 275,696円 | 289,992円 |
奈良県 | 297,029円 | 312,778円 |
和歌山県 | 275,445円 | 289,628円 |
鳥取県 | 304,722円 | 320,578円 |
島根県 | 290,603円 | 307,224円 |
岡山県 | 287,198円 | 300,834円 |
広島県 | 279,546円 | 298,509円 |
山口県 | 292,398円 | 307,605円 |
徳島県 | 289,637円 | 303,175円 |
香川県 | 264,824円 | 279,095円 |
愛媛県 | 303,460円 | 316,824円 |
高知県 | 296,197円 | 312,330円 |
福岡県 | 292,397円 | 308,688円 |
佐賀県 | 287,420円 | 304,021円 |
長崎県 | 300,399円 | 317,105円 |
熊本県 | 288,588円 | 304,548円 |
大分県 | 283,862円 | 299,570円 |
宮崎県 | 290,094円 | 307,031円 |
鹿児島県 | 292,532円 | 307,425円 |
沖縄県 | 257,881円 | 272,653円 |
上記金額は技能試験などを全て一回で合格できたと想定した場合の金額です。技能教習の”みきわめ”や、仮免許試験、卒業試験などに通過できない場合には、追加の教習費用が発生します。オーバーした際の追加予算として2~3万円程度を想定している方が多いようです。
※不安な方は1回の技能教習に必要な費用と、仮免許試験、卒業試験などに不合格だった際に必要な教習時間などを確認しておきましょう。
運転免許センターで必要な費用
教習所での費用(入学金・技能教習など)とは別に、運転免許センター(試験場)で必ずかかる費用があります。
これは全国どこでもほぼ共通で、受験や免許交付にかかる公的な手数料です。
🚗 免許センターで必要な費用(普通自動車・初めて取得の場合)
- 受験手数料(学科試験):1,750円(全国共通)
- 試験車使用料(技能試験分):1,450円(仮免許や本免許技能試験で必要)
- 免許証交付手数料:2,050円
合計:約5,250円前後
これが「運転免許試験場(運転免許センター)」で必ず支払う費用です。
(教習所で卒業証明をもらって学科試験だけを受ける場合も、交付料+受験料がかかります。)
低予算で自動車免許を取得する上で覚えておきたいこと
運転免許の取得費用は地域や教習所によって大きく変動しますが、工夫次第で数万円以上の節約も可能です。ここでは、低予算で免許を取得したい方が覚えておくべき代表的なポイントをまとめました。
学割料金を使う
学生の方は、まず学割料金をチェックしましょう。相場としては1〜2万円程度の割引が期待できます。ただし、すべての教習所で学割があるわけではありません。ホームページに記載がない場合でも問い合わせると割引を適用できるケースもあるため、確認は必須です。
夜間料金・ナイター料金を確認しておく
通学型の場合、夜間(夕方以降)の教習には追加料金が発生する場合があります。相場は1時限あたり500円前後。アルバイトや授業の後に通う学生は特に影響を受けやすいため、夜間割増の有無を事前に確認しましょう。追加料金が不要な教習所を選ぶだけで、最終的な支払総額に大きな差が出ます。
インターネットからの申込で割引があるかも
教習所によっては、公式サイトや提携サイト経由の申込で5,000円前後の割引を用意していることがあります。キャンペーン時期はさらに特典が上乗せされる場合もあるため、インターネットからの申込みは必ず比較対象に入れるのがおすすめです。
キャンペーン・早割・グル割を活用
教習所によっては「早割」「グループ割」「紹介割引」などを組み合わせることで、さらに数千円〜数万円安くなる場合もあります。特に繁忙期を避けたオフシーズン入校は狙い目です。
合宿教習所ならば10万円以上安い!?
費用を大幅に抑えたい場合は、合宿免許を検討するのも有効です。通学よりも10万円以上安くなるケースがあり、最短2週間で免許取得が可能。長期休暇を活用できる学生や時間に余裕がある方に特に向いています。
- AT限定 : 約18万〜28万円
- MT免許 : 約20万〜30万円
- AT限定 : 20万円前後
- MT免許 : 23万円前後
合宿免許は、通学型と比べて大幅に費用を抑えられるのが大きな魅力です。通学の場合は30万円前後が一般的ですが、合宿免許なら20万円前後からのプランもあり、結果的に10万円以上の差が出るケースも珍しくありません。
これは教習所側が宿泊や食事をパッケージ化して提供し、短期集中で効率よく教習を進められるため、コストを下げられる仕組みになっているからです。
さらに、繁忙期を避ければ割引キャンペーンや特典がつくことも多く、学生や社会人の長期休暇を利用した取得にも最適です。もちろん、最短2週間ほどで免許が取れるスピード感も魅力のひとつ。「時間と費用をできるだけ抑えて早く免許を取りたい」という方には、合宿免許は非常におすすめの選択肢といえます。



閑散期(例:4〜7月上旬、9月下旬〜1月頃)なら、これらの下限よりさらにリーズナブルなプランが見つかることもあります。繁忙期と比べて10万円以上の差が生じる場合もあるため、入校時期の調整が重要です