自己破産は、裁判所の判断のもと借金がチャラになる個人を守るための制度です。
この記事では、自己破産の手続きとポイント、メリット、デメリットをFPが解説します。
多重債務で苦しんでいる方は是非参考にしてください。
自己破産の手続きとポイント
自己破産は、裁判所の判断のもと借金がチャラになる個人を守るための制度です。
借金整理には他に、任意整理や特定調停、個人再生がありますが、利息をゼロにしたり、元本を減額するのが目的で、返済は続けていくことになります。自己破産だけが借金全額を無かったことにできます。
借金が完全に無くなるので、債務者にとっては嬉しいですが、借金の原因によっては認められないケースもあり、免責が降りるまでは特定の職業につけない資格制限など不便もあります。
少し専門的な話になりますが、現在の制度になる前の自己破産は、禁治産者制度と呼ばれていました。
禁治産者制度は、現在の後見人・被後見人制度似ています。禁治産者になるとあらゆる法律行為が後見人の許可がないと行えない、かなり強力な制限がかかる制度でした。
自己破産=禁治産者と記憶している人も年配の方に一定数いて、殊更に卑下することもありますが、現在の自己破産制度はあくまでも個人の再出発を応援するためのモノです。
自己破産の流れ
- 依頼
- 受任
- 自己破産の申し立て
- 破産審尋
- 審査期間1〜2ヶ月
- 破産の確定
- 官報に公告
- 免責の確定
- 再出発
自己破産のメリット
自己破産のメリット
- 裁判所で全ての債務を免除してもらう
- 手続き開始後は債権者の強制執行ができなくなる
- 最低限の財産は手元に残る
- 家族に影響が出ることはない
自己破産は、裁判所に破産申立を行い、免責許可が出れば借金がゼロにになる個人を守るための制度です。
免責許可が出るかどうかは、債務者の負債額や収入、資産などを元に総合的に判断されます。
もし支払いのための財産があれば競売等の手続きを経て、現金化され、支払いにあてられます。それでも支払い不能と判断されれば自己破産となります。
自己破産の手続きで、全ての財産が没収されるわけではありません。一定の財産は残されます。
- 99万円までの現金
- 残高20万円までの預貯金
- 20万円以下の生命保険の解約返戻金
- 20万円以下の自動車
- 家財道具
一定額の現金などの資産は手元に残すことができます。逆にこれ以上の資産はなくなりますが、自己破産する時点でこれといった資産がない人がほとんどです。
自己破産のデメリット
自己破産のデメリット
- 不動産などの高額な財産を失う
- 免責確定までの数か月間、資格制限がある
- 信用情報機関に事故情報(異動情報)が記録される
免責が確定するまでの数か月間は、資格制限があり、一定の職業に就くことができなくなります。
株式会社の取締役及び監査役、弁護士、公認会計士、証券会社の外務員、旅行業者、宅地建物取引業者、建設業法に定める建設業者、中央卸売市場の卸売業者、生命保険の募集人、損害保険代理店、風俗営業及びその管理者、警備員、商工会議所会員
弁護士や公認会計士などの職業に就くことができませんが、永遠にダメというわけではなく、免責が確定するまでの数か月間の制限です。免責が降りれば制限は解除され、上記の職業にも就けるようになります。
他の債務整理手続きと同様に、自己破産すると信用情報機関に事故情報(異動情報)が残るので、5年〜10年間は新たに借入することが難しくなります。
自己破産の免責が認められないケースがいくつかあり、借金の原因も関係してきます。
免責不許可事由
- 浪費やギャンブルにより過大な借金をした(FXなど投機性の高い投資行為など)
- クレジットカードで購入した商品を転売したり、質入れして現金を取得した(いわゆるクレカの現金化のこと)
- 破産状態でありながら借金したり、クレジットカードを利用した(どうせ自己破産するなら借りられるだけ借りとけみたいな自暴自棄な行為のこと)
- 過去7年以内に自己破産や個人再生を利用している
自己破産は個人を守るための制度なので、余程のことがない限り、免責は認められますが、何度も繰り返して利用できるものでもないのでご注意ください。
自己破産した後は借りられない?
自己破産後、原則として5年から10年は新たな借入はできません。
ただし、大手とは異なる独自の審査基準がある中小消費者金融なら個人再生後でも借りられる可能性があります。
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