特定調停は、裁判所の調停委員が債務者(お金を借りた人)と債権者(お金を貸した人、会社)の間に入り、返済方法等の調整を行うものです。
この記事は、特定調停の手続きとポイント、メリット、デメリットをFPが解説します。
多重債務で苦しんでいる方は是非参考にしてください。
特定調停の手続きとポイント
特定調停は、裁判所の調停委員が債務者(お金を借りた人)と債権者(お金を貸した人、会社)の間に入り、返済方法等の調整を行うものです。
今後も支払いを続ける事が前提となります。返済の目処が立たたない人は利用できません。
特定調停は裁判所が仲介するので、弁護士や司法書士に依頼せず、あなたに専門知識が無くても、申し立てることができます。
同じ債務整理の枠組みにある任意整理は、裁判所を介さず、弁護士や司法書士が債権者と交渉します。個人では専門知識の点で債権者に劣るので、厳しいです。
また、個人再生や自己破産も個人で行うには、専門知識の点でハードルが高いので、専門家に依頼することになります。
特定調停の流れ
- 簡易裁判所に相談・書類をもらう
- 申し立て書類の作成
- 簡易裁判所へ申し立て
- 調停
- 合意
- 返済開始
特定調停のメリット
特定調停のメリット
- 月々の返済額を減らすことができる
- 返済期限を延ばすことができる
- 債権者との交渉を調停委員が行ってくれる
- 自分で行えば費用があまりかからない
- 他の債務整理手続きよりも簡単で早い
- 自己破産のような資格制限がない
返済方法等の変更は、あくまで債権者との交渉になりますが、多くの場合、利息分が減額され、残額を3年以内に分割払いしていくことで話がまとまります。話し合いによっては、将来支払う金利を0%にすることもできます。
申し立ての費用は数千円以内で、手続きは比較的簡単、解決まで1~2か月ほどの期間で済みます。
特定調停のデメリット
特定調停のデメリット
- 元本を減額できない
- 調停が不成立になる可能性がある
- 信用情報機関に事故情報(異動情報)が載る
- 調停成立後、返済が滞ると給与等を差押えられる
依頼者の利益最大化を目指す弁護士や司法書士と違い、裁判所の調停委員は仲介者としてあなたの代わりに交渉をしてくれるだけです。
場合によっては、必ずしもあなたにとって有利ではない条件での合意や、そもそも調停不成立のリスクがあります。
だからと言って、特定調停制度を批判しているわけではありません。少額で、短期間に手続きが進む利便性は魅力的です。
調停成立には法的な強制力があります。法的な強制力とは、弁済が滞った場合、給料・給与等の差し押さえを簡便な方法で実行できることです。つまり、差し押さえの裁判を起こさなくても、すぐに給料・給与の差し押さえができるのです。
他の債務整理手続きと同様に、信用情報機関に事故情報が載るので、5~7年間は新たに借金することが難しくなります。
特定調停は、利息分を減額してもらえれば借金を返済していける人が選ぶ債務整理です。返済するのが難しい場合は、個人再生や自己破産を選択する方がいいかもしれません。それから、ある程度の専門知識も必要ですし、交渉に当たっての胆力も必要です。
自信がなければ、弁護士や司法書士など専門家に相談するのが賢明です。
特定調停した後は借りられない?
特定調停後、原則として5年から10年は新たな借入はできません。
ただし、大手とは異なる独自の審査基準がある中小消費者金融なら個人再生後でも借りられる可能性があります。