「生活に困っている」とひとことに言っても、その困り具合や原因は人それぞれです。
- 「何日も食べてない。明日食べるものもない。」
- 「食事は取れているけれど、借金のせいで家賃やローンを滞納している。」
- 「国保や税金が払えない。」
- 「十分な収入があるはずなのに手渡してもらえず、暴力も振るわれている。」
何に一番困っているのか?
何が一番必要なのか?
それを見極めることが大切です。
なぜなら、それによって相談に行くべき場所が変わってくるからです。
今回は、困っていることやそのレベル別に相談できる場所、使える制度などを紹介していきたいと思います。
働けない状態で収入がない。預貯金や財産もない
「人間らしい生活を営むこと」これは憲法で保証された国民の権利です。
人は誰でも、最低限の衣食住が保障された文化的な生活を営む権利を持っています。しかし、怪我や病気などの不測のアクシデントは人生につきもの。
思わぬトラブルで働けない状態になり、日々の生活にも困るようになってしまったたら、生活保護制度、生活費の貸付制度を利用しましょう。
生活保護制度
生活保護制度とは、病気や怪我、家族の看護・介護などの事情で働くことができず預貯金や財産もない時は、生活保護費を現金を現金で受け取ることができる制度です。
生活保護費不正受給問題の影響で、生活保護を受けることが悪いことのように見る向きもありますが、本当に困っているなら生活保護に頼りましょう。そこから生活を立て直していけばいいのですから。
生活保護を受ける際の注意点
一定の収入がある場合、預貯金や不動産などの財産がある場合は受給できません。また、受け取ることができるのは生活する上で必要最低限の金額のみです。
生活保護の運用は、各市町村庁に委ねられています。保護費受給の基準が自治体ことに若干異なるようなので、一歩踏み込んだ内容は、それぞれお住まいの市町村に問い合わせをしてください。
市町村の役所に問い合わせてから必要書類を提出し、審査に通れば受給することができます。
生活保護について一歩踏み込んだ内容を知りたい方は、厚生労働省のホームページ内の生活保護制度をご覧ください。
生活保護の相談先
お住まいの市町村の役所
※上記の厚生労働省のホームページ内に最寄りの福祉施設の電話番号が記載されていますのでご覧ください。
生活費の貸付
持ち家に暮らしている場合は、生活保護制度を利用することができません。
しかし、親から相続した家はあるが買い手もいないのでお金にならないなど、持ち家があるからと言って必ずしも裕福というわけではありません。
そのため「家はあるが体を壊して仕事ができない。お金がない。生活ができない。」と苦しんでいる方もいらっしゃいます。
こうした方のために創設されたのが生活福祉資金という生活費貸付制度です。
自己所有の不動産を担保にして、生活費を低金利(年1.5%、連帯保証人を立てられる場合は無利息)で借りることができます。
「生活費の貸付」相談先
お住まいの都道府県の社会福祉協議会
社会福祉協議会ホームページ各都道府県の社会福祉協議会の連絡先一覧ページへのリンク
社会福祉協議会は、すべての県・市町村に設置されている、社会福祉の中核的な役割を担う団体です。包括的な社会福祉に関わる活動を広く行っています。
収入はあるが借金もある。借金さえなければ、生活費はなんとかなる
収入はあるが、そのほとんどを借金の返済に充ててしまうので生活がままならないというケースでは、まず「借金の整理」をすることを考えましょう。
借金の整理は専門的な知識が必要になるので、弁護士等の専門家に相談することになります。
弁護士と聞くと費用が高いのでは……と不安になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、各自治体では定期的に法律の無料相談を行っています。相談を受けるのは弁護士、司法書士、税理士、公認会計士、行政書士などそれぞれの分野の専門家なので安心して相談できます。
また、各都道府県に設置されている「法テラス」では費用の分割払いの相談なども受け付けています。
お金の話はデリケートなことなので、誰にでも話せるものでもないでしょう。そのため自分一人で問題を抱え込んでしまう傾向があります。
弁護士などの専門家には職務上知りえた内容を他言しない守秘義務があります。あなたの話が他に漏れることはありません。誰かに話すと心の負担も軽くなります。
「借金の整理」相談先|お住まいの市町村の役所
お住まいの市町村が発行する広報誌(市報、町報、村報)に無料相談の日程が公表されています。
また、たとえば下記の大分市のようにホームページに無料相談の日程を掲載しているので、お住まいの市町村のホームページでご確認ください。
法テラス|お住まいの市町村の役所
法律全般に関する相談の総合案内窓口。各県に1箇所設置されている。初回は無料で弁護士に相談することもできる。弁護士費用を法テラスが一旦立て替えてくれるサービス(分割で法テラスに返済する。審査あり。)もある。法テラスへの問い合わせはホームページ内のメールフォームまたは電話からできる。
住むところはあるが、食事が食べられない
住まいの確保はできているけれど、食べ物を買うお金が足りなくて困っている。そんな場合は、無償で食料を提供してくれるNPOなどを探して支援を受けるのが早道です。
「フードバンク」などボランティア団体の他、キリスト教会やカトリック教会などでも無料の食事提供活動を行っています。また、市役所が路上生活者支援として給食サービスを提供した、という事例もあります。
この分野は、広く情報を集めることが重要です。意外と近くに提供を行ってくれているところが見つかったりします。
フードバンク相談先
フードバンクに取り組むのは主にNPO法人です。NPO法人は毎年その数を増やしていますが、同じように活動を停止する団体も多くなっています。そのため、このNPO法人という具合に紹介できづらい状況です。
NPO法人の情報収集をする時は、「お住まいの【県名】+【NPO】」で検索すると、県内のNPO団体を網羅したサイトが上位に表示されるので、そちらを参考にすると便利です。
また、都道府県庁のホームページにもNPO法人に関するリンクが紹介されています。
配偶者が生活費をくれない。さらに暴言・暴力をふるわれる
女性(主婦)の方に多いケースです。
- 収入面では問題ないはずなのにお金を渡してもらえない
- 生活費を入れてもらえず、収入のほとんどを配偶者が勝手に使ってしまう
- 無断で預金を下ろされ、使い込まれる
- 逆らうと暴言・暴力をふるわれる
配偶者が時おり見せる優しさにすがるように我慢してしまう人もいますが、第三者の介入がなければ、状況が変わることはありません。
女性の悩みの相談先
「女性の相談窓口 各都道府県」で検索すると公的機関の相談窓口が上位表示されます。
※この種の問題はとてもデリケートなものです。相談は公的機関で行うようにしましょう。
18歳未満で、親から虐待を受けている可能性がある
成人していない18歳未満の子供が次のような児童虐待の可能性も含めた対処が望ましいでしょう。
- 親から食事をもらえない
- 暴力を受けている
- 放置され無視されている
各県の児童相談所へ電話で相談してみてください。
児童相談所の対象は18歳未満なのですが、高校在学中の場合は児童相談所を経由して、必要なサポート先を教えてもらえることもあります。
児童虐待等の相談先
全国児童相談所共通ダイアルは、平成27年7月1日から全国共通ダイアル「189」となりました。
厚生労働省 「全国児童相談所共通ダイアル 」
経済面生活面共に様々な困難があるが、乳幼児を抱えていて身動きが取れない
生活を立て直したいが、赤ちゃんに手を取られてしまい、なかなか解決のために動き出せない。「少しの時間だけでも預かってもらえたら...」というとき。
あるいは、「若くして母親になったため、わからないことだらけで煮詰まってしまい、何から手をつけていいか整理ができない。」という場合は、子育ての困難を軽くすることで、その他の問題解決への糸口をつかめる場合があります。
市町村の乳児検診の時に相談することもできますが、プライバシーが気になったり、時期の点で不向きな場合は、「近くに子育て支援団体がないか」を探してみましょう。
子育て支援センターなど、そうしたサービスを提供する自治体もあります。
母親のための相談先
お住まいの市町村の役所
子育て支援センターは、主に市町村がNPO団体に委託して運営されていることが多い。「自治体名 子育て支援」で検索すると、上位に表示されます。
家族が心の病、アルコール依存症などで生活がままならない
心の健康を乱しているために、就労や家庭生活に困難が起こり、金銭管理もできなくなっていると思われる場合は、アルコール外来の受診、精神科での治療を検討すべきかもしれません。
精神科にすすんで行きたいと思う人は少ないでしょう。自分はまともだ!!!と怒りだす人もいるかもしれません。
そんなときは問題の整理も含めて、まずは「アルコールや心の病を専門とする窓口」に相談を行うことで、より専門性の高いアドバイスを受けることができます。
心の病や依存症の問題は「本人が自覚しづらく問題を抱えていることに気付きにくい」という特徴があります。
そのため解決には家族を含めたまわりの人たちのサポートが不可欠です。相談機関では、身内の方からの電話や面談も行っています。
こころの病の相談先
アルコール依存症のための電話相談機関や自助グループのリスト。アルコール問題は家族の問題として対処することでより早い解決へとつながる場合が多く、問題意識を持った人が積極的に相談することが望ましい。
こころの病全般については厚生労働省の「【厚生労働省】こころの耳|メンタルヘルスポータルサイト」をご覧ください。
人間関係が極端に不得手で、転職を繰り返し収入が不安定
- 体は健康で全く問題ないはずなのになぜか仕事が長続きせず、些細なことで離職してしまう。
- 職場での人間関係を円満に保つことが極度に難しく、それが原因で仕事にいけなくなる。
- 面接が全くダメで、何度も就職試験を受けても決まらない。
こうしたケースでは、実はわかりづらい困難を抱えていて、本人も人知れず悩み困っていることがあります。
ここ数年で「発達障害」や「自閉スペクトラム」についての理解も進みましたが、いま就労年齢に達している人の多くが子供の頃にはこれらの言葉もなく、手を差し伸べられることもなく見過ごされてしまったケースも多くあります。
障害という言葉に抵抗があって、自分から診断を受けることを拒むことが多いようですが、専門家とともに社会にうまく適応する技術を身に着けることで、生活環境が改善されます。
発達障害の相談先
各都道府県に1箇所以上ある発達障害を専門とする公的相談窓口です。発達障害全般に関わる、相談、検査、学習・就労支援を行い、必要に応じて他の機関と連携しつつサポートを行っています。電話相談の他、面談(要予約)が可能。家族からの相談もできます。
※「都道府県 + 発達障害 + 支援」で検索すると各都道府県の支援センターを見つけることができます。
雇用保険に入っていないのに会社の都合で失職した
突然の罹災やリストラで職がなくなってしまった。雇用保険に入っていないので失業給付も受けられない。次の仕事が見つかるまでの生活を支えることが難しい場合でも、まずはハローワークを訪ねましょう。再就職先を探すことはもちろん、公的な失業者支援の情報はハローワークに集まります。
雇用保険に加入していない人のための「求職者支援制度」もあります。一定の条件を満たせば、再就職のための職業訓練を受けながら職業訓練受講者給付金(月10万円)の給付を受けることができます。
失業に関する相談先
通勤中、仕事中に大怪我をして入院した。職を解かれた
通勤中、仕事中に怪我をした場合、本人に重過失がない限りは基本的に労災が申請できます。認定されるかどうか、また、会社側が労災を適用することに協力してくれるかどうかわからないところはありますが、原則として申請は可能です。
また、勤務中の怪我を理由に解雇することは違法である可能性があります。労働基準監督署に相談しましょう。
怪我が原因で後遺障害が残るような時は、障害年金の申請が出来る場合もあります。
仕事中の怪我の相談先
「労働者の警察」とも呼ばれる労働基準監督署は、労働環境が労働法に則って正しく保たれるよう監督指導を主な業務としています。残業代不払い、給料カットなどの問題、職場での暴力など、職安でも相談はできるが、違法性が疑われる場合は職安からこちらに回される。労災の受付も業務の一つとなっています。電話相談可。
家も食もなく、路上生活中。どうしていいかわからない
何らかの事情で、生活基盤も住む場所も失い、食べていくことさえ難しい...こんな状況になることも「絶対ない」とは言えないのが人生です。
これまで挙げてきたような個別の支援も状況によって利用できますが、より深刻な状況に陥っているときは、分野別の支援よりも包括的に生活全体を見直して、自立支援ができるような方法が、より望ましいといえます。
ホームレスなどの相談先
「ホームレス 相談窓口 各都道府県」で検索すると支援活動をしているNPO法人のサイトが上位に表示されます。
ただし、ホームレスの方を利用して生活保護費を詐取する事件などもあるので、相談はお住まいの自治体に行かれるのが安全です。