健康保険料を簡単に計算できるツール(令和7年度対応)。給与や賞与額から健康保険・介護保険・子育て拠出金の負担額を手軽に確認。仕訳方法や端数処理など経理担当者向けにわかりやすく解説しています。
このツールでは、全国健康保険協会(協会けんぽ)が公表する令和7年度の保険料率に基づき、健康保険料・介護保険料・子ども・子育て拠出金の目安額を簡易に試算できます。実際の保険料は、事業所ごとの給与計算ソフトや特約等により異なる場合があります。あくまで目安としてご利用ください。
健康保険料・介護保険料は、折半額に対して以下のように処理しています:
- 1円未満の端数を四捨五入(50銭未満は切り捨て、50銭以上は切り上げ)
- 合計欄の金額は、端数処理前の総額から再計算しており、本人・事業主の合計と一致しない場合があります
子ども・子育て拠出金(事業主負担のみ)は、1円未満を切り捨てにて計算しています。
- 健康保険・介護保険:年度累計 573万円 を上限とし、千円未満を切り捨て
- 子ども・子育て拠出金:1回あたり 65万円 を上限に計算(70歳以上は対象外)
本ツールの計算結果はあくまで参考値であり、正確な納付額を保証するものではありません。詳細については、顧問社労士・税理士等へご確認ください。
健康保険料の基本|誰が・どれだけ負担するの?
健康保険料は、病気やけがに備えるために毎月支払う大切な保険です。
会社員やパート・アルバイトの方が加入する「協会けんぽ」の場合、毎月の給与や賞与に対して、あらかじめ決められた料率で計算されます。
健康保険料の額は、地域(都道府県)ごとに異なる保険料率をもとに決まり、年齢によっても負担額が変わることがあります。
特に40歳以上になると、介護保険料の負担も加わるため、保険料が少し高くなる仕組みです。
保険料の負担は本人と会社(事業主)で半分ずつ。
たとえば、月の保険料が2万円だった場合、従業員が1万円、会社が1万円を負担します。
これは法律で定められた「折半負担」のしくみによるものです。
保険料率は地域ごとに違う?|都道府県別の違いを確認
健康保険料は、全国一律ではありません。都道府県ごとに異なる料率が設定されています。
同じ年収でも、事業所の所在地によって保険料に差が出ることがあるのです。
たとえば、令和7年度(2025年度)の保険料率を見てみると、東京都は9.91%、大阪府は10.24%、徳島県は10.47%となっており、
地域によって1%近い差がついています。これは決して小さな差とは言えません。
このような地域差が生じる理由のひとつに、医療費の水準や人口構成の違いが挙げられます。
医療機関の利用頻度や高齢者の割合が多い地域では、保険財政にかかる負担も大きくなるため、
それに応じて保険料率が調整されているのです。
保険料率は毎年見直されるため、最新の情報を確認することが大切です。
本ページの健康保険料計算ツールでは、令和7年度の最新料率に対応しています。
都道府県を選ぶだけで、自動的に該当する料率を読み込み、金額を計算できます。
事務作業や給与明細のチェックをスムーズに行うためにも、このようなツールをうまく活用していきましょう。
40歳以上は介護保険料も加算される
健康保険に加えて、40歳から64歳までの方には介護保険料の支払い義務も発生します。
これはいわゆる「第2号被保険者」と呼ばれる区分で、協会けんぽなどの健康保険に加入している方が対象です。
介護保険料も健康保険料と同様に、従業員と事業主が折半して負担する仕組みです。
令和7年度における介護保険料率は1.59%と定められており、報酬額にこの料率をかけた金額が保険料となります。
たとえば、給与が30万円の場合、介護保険料の月額負担は次のように算出されます。
30万円 × 1.59% ÷ 2 = 2,385円(従業員・事業主それぞれ)
このように、本人と会社で約2,400円ずつを負担することになります。
なお、40歳未満および65歳以上の方には介護保険料はかかりません。
該当する年齢層かどうかに応じて、給与計算や費用見積もりの際には注意が必要です。
本ページのシミュレーションでは、入力された年齢区分に応じて介護保険料の有無を自動で判断する仕組みとなっています。
目安として活用いただくことで、概算の確認に役立てていただけます。
子ども・子育て拠出金とは?
子ども・子育て拠出金は、すべての企業が負担する社会保険料のひとつです。
制度の目的は、子育て支援や少子化対策の財源を確保することにあります。
この拠出金は、協会けんぽなど健康保険に加入している全従業員の報酬額に対して課され、事業主が全額を負担します。
従業員個人が直接負担するものではありません。
令和7年度の拠出金率は0.36%に設定されており、報酬額が大きいほど拠出額も大きくなります。
たとえば月給30万円の従業員1人に対して、30万円 × 0.36% = 1,080円を事業主が負担する計算です。
なお、70歳以上の従業員については、拠出金の対象外となるため、事業主に負担義務は発生しません。
この点は、年齢層の高い労働者を多く雇用する事業者にとって留意すべきポイントです。
本ツールでは、選択された年齢区分に応じて、拠出金の対象かどうかを自動判定しています。
おおよその負担額を確認したい場合にご活用いただけます。
標準報酬月額とは?保険料計算の正確さを左右する基準額
健康保険料や厚生年金保険料は、実際に支給された給与額そのものではなく、標準報酬月額と呼ばれる基準額をもとに計算されます。
この標準報酬月額は、給与を一定の幅で区切った「等級」制度に基づいて設定されており、毎年4月~6月の報酬などを基準に見直されます。
たとえば、毎月の給与が307,000円の場合、実際の支給額ではなく、等級22・標準報酬月額300,000円として扱われます。
そのため、実際の給与が数千円異なっていても、保険料の計算結果が変わらないこともあります。
また、標準報酬月額には上限があり、令和7年度の上限は1,390,000円です。
これを超える高額給与を受け取っている場合でも、保険料の算出にはこの上限が適用され、それ以上の部分には保険料はかかりません。
このツールで給与を入力する際は、実際の支給額ではなく、日本年金機構が公開している「健康保険・厚生年金保険の保険料額表」に掲載されている報酬月額を参照し、 該当する標準報酬月額を入力してください。
給与・賞与の違いによる計算上の注意点
健康保険料や介護保険料などの社会保険料は、「給与」と「賞与」それぞれに対して別々に計算されます。
そのため、報酬の形態によって保険料の金額が異なることがあります。
給与ベースの計算では、毎月の標準報酬月額に基づいて保険料が定まります。
これに対して賞与ベースの計算では、支給額そのものをもとに保険料が算出されるため、都度計算・都度控除が行われます。
また、賞与については年間573万円(令和7年度時点)という上限があり、それを超える部分には保険料がかかりません。
一方、毎月の給与については「標準報酬月額」という区分があり、報酬が高くなるほど上の等級が適用されます。ただし、等級には上限があり、現在は月額139万円までが計算の基準とされています。これを超える給与をもらっていても、保険料の計算はこの139万円を上限として行われます。
賞与の支給時期や年に何回支給されるかによって、年間トータルの保険料負担額にも違いが出る可能性があります。
特に期末賞与や臨時支給がある場合は、事前に試算しておくことが大切です。
このツールでは、給与と賞与の切り替えが可能となっており、各パターンでの負担額の目安を簡単に確認できます。
健康保険料の仕訳例
健康保険料は、給与を支払う際や保険料を納付する際に、経理処理(仕訳)が必要になります。
ここでは、よく使われる仕訳のパターンを紹介します。
まず、給与計上時には、従業員の健康保険料(本人負担分)を控除し、会社側の負担分(事業主負担)も同時に計上します。
■ 給与計上時の仕訳例
(例:支給総額300,000円、健康保険料本人負担15,000円、事業主負担15,000円の場合)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
給与手当 | 300,000円 | 預り金(健康保険料) | 15,000円 |
現金(または普通預金) | 285,000円 |
同時に、会社負担分を「法定福利費」などの勘定科目で計上します。
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
法定福利費 | 15,000円 | 未払金(または預り金など) | 15,000円 |
■ 納付時の仕訳例
(例:合計納付額30,000円を支払う場合)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
預り金(健康保険料) | 15,000円 | 普通預金(または現金) | 30,000円 |
未払金(会社負担分) | 15,000円 |
このように、本人負担・会社負担を明確に分けて処理することで、 経理処理がスムーズになり、税務上の根拠にもなります。
勘定科目は会社によって異なる場合もあるため、自社の会計ソフトや顧問税理士と確認しながら正確に仕訳しましょう。
中小企業こそ使いたい!保険料計算ツールの活用法
健康保険料の計算は、年齢や地域、報酬額によって大きく変わります。
中小企業の経理担当者にとっては、これを手作業で計算するのはとても手間がかかります。
そんな時に便利なのが、健康保険料計算ツールです。
誰でもかんたんに使えるように設計されており、日々の実務に役立ちます。
■ 入力のしかたはとてもシンプル
・年齢(40歳未満〜70歳以上)を選択
・事業所の所在地(都道府県)を選ぶ
・給与または賞与の金額を入力
あとは「計算」ボタンをクリックするだけで、健康保険料・介護保険料・子ども・子育て拠出金が自動で表示されます。
本人負担と事業主負担が分かれており、仕訳にも使える具体的な金額がわかるのもポイントです。
また、計算結果はそのまま印刷して記録に残すことも可能です。
給与明細の確認や、予算作成時のシミュレーションなどにも活用できます。
とくに人手の限られた小規模事業者にとっては、
このようなツールをうまく使うことで、作業の効率化やミスの防止につながります。
まとめ|健康保険料を正しく理解して事務作業の効率化を
健康保険料は、従業員と会社が半分ずつ負担する仕組みで、
地域や年齢、報酬の種類によって金額が変わります。
また、介護保険料や子ども・子育て拠出金も加算されるケースがあり、
経理処理や仕訳の正確さが求められます。
中小企業では、専任の人事・経理担当がいない場合も多いため、
誰でも使いやすい計算ツールを取り入れることで、
毎月の事務作業がぐっとスムーズになります。
制度や料率は毎年のように見直されるため、
最新版の情報を確認しながら業務を進めることが大切です。
不安な点があるときは、社会保険労務士や公的機関の案内も活用しましょう。
正しい知識とツールの活用で、健康保険の手続きをもっと安心・確実に進められます。