アイフル「無人店舗」全廃の理由と影響｜スマホ完結・即日融資の新時代へ

京都市下京区に本社を置く大手消費者金融のアイフルは、全国に展開してきた無人店舗（無人契約機・契約ルーム）を2026年度末＝2027年3月までに全廃する方針を明らかにしました。背景には、同社が公表している「申込の95％以上がWEB経由」という利用実態があり、スマホやPCを使ったWEB完結申込・即日振込融資・カードレスローンへの移行が急速に進んでいます。

アイフルは、無人店舗を撤退することで年間約25億円のコスト削減効果を見込んでおり、すでに2024年4月以降だけで195店舗を閉店。さらに、2025年9月にも多数店舗の閉鎖が公式発表されており、計画が着実に実行されていることが確認できます。

なお、報道などで「京都のアイフル」と紹介されるのは、本社所在地が京都市下京区にあるためです。

【基礎知識】アイフルの「無人店舗（自動契約機）」とは？

ここでいう「無人店舗」とは、従来のようにスタッフが常駐する窓口ではなく、契約ルーム・自動契約機・店内ATM など、有人対応を前提としない施設の総称です。消費者金融業界では「無人契約機」や「自動契約コーナー」と呼ばれることも多く、かつては即日融資を受けたい利用者にとって主要な入口でした。

アイフルも例外ではなく、以前は全国各地に無人契約ルームを展開し、来店によるカード発行や現金の出し入れが可能でした。しかし、2024年1月時点で店内ATMの廃止を進める動きが見られ、来店ベースでの取引比率を徐々に縮小。その代替として公式サイトやアプリを通じた「振込融資」「インターネット返済」が強く案内されています。

さらにアイフルは、公式ページで 「申込みも借入れもWEB完結」 を掲げており、店頭を起点とする顧客導線をオンラインに集約する設計を明確に打ち出しています。背景には「カードレス利用」の浸透もあり、カード発行やATM利用を前提としない利用スタイルが主流となりつつあります。

【背景】なぜアイフルは無人店舗を全廃するのか

アイフルが無人店舗を段階的に全廃すると決断した背景には、大きく分けて 「顧客行動の変化」と「コスト構造の最適化」 の2つがあります。

WEB完結・e-KYCの普及による来店不要化

ここ数年で、消費者金融の申込・契約フローは大きく変化しました。特に普及が進んだのが、スマホ1台で完結できる e-KYC（オンライン本人確認） です。公的本人確認書類をスマホで撮影し、顔認証と突合する仕組みによって、来店不要で安全に本人確認が可能になりました。アイフルは早期からe-KYCを導入しており、すでに 申込の95％超がWEB経由。利用者にとっても「店舗に行く手間がない」「すぐに結果がわかる」というメリットが浸透し、店舗を利用する必要性が大幅に減少しています。

店舗維持コスト（家賃・人件費）の削減効果

無人店舗を維持するためには、賃料・設備維持費・セキュリティ管理・人員の巡回コストなど多額の固定費が発生します。これらは利用率が低下すればするほど「不採算部門」として経営の重荷になります。アイフルは全店廃止により、年間約25億円規模のコスト削減を試算しており、これは金利上限が法律で固定されている消費者金融業において、確実かつ持続的な収益改善の手段といえます。

2024年以降の段階的な店舗閉鎖スケジュール

2024年4月以降だけでも195店舗が閉店され、2025年9月には全国各地の店舗閉鎖が公式に告知されました。これは「将来的な計画」ではなく、すでに進行中のプロセスであり、2026年度末＝2027年3月までの完全撤退に向けたロードマップが着実に実行されていることを意味します。

消費者金融業界全体で進む「スマホ融資」へのシフト

アイフルだけでなく、他の大手消費者金融でも「店舗縮小・オンライン化」は進んでいます。銀行カードローンの無人契約機撤退も相次いでおり、業界全体で「店舗依存からスマホ完結へ」という大きな流れが鮮明になっています。

【Q&A】アイフル無人店舗廃止後の利用者への影響

【戦略分析】アイフルが無人店舗廃止で狙うもの

アイフルの無人店舗全廃は、単なる「店舗削減」ではなく、同社の経営戦略を象徴する大きな方針転換です。ここではその狙いを多角的に読み解きます。

完全デジタル化による顧客体験の最適化

申込の95％超がWEB経由という事実は、顧客獲得から審査・入金・返済までをデジタル上で完結できる体制が整いつつあることを意味します。今後はAI与信やCRM（顧客関係管理）の精度を高め、アプリ中心での利用継続を促すことが鍵となります。オンライン完結型ローン市場の拡大において、アイフルは早期からデジタル基盤を整備してきた先行者優位を持っています。

年間25億円規模のコスト削減で収益力強化

消費者金融業は金利上限が法で固定されており、収益源は利息収入に依存します。そのため、「コスト削減＝利益確保」 が経営の安定性を左右します。無人店舗を全廃することで年間25億円規模のコスト削減を実現すれば、景気動向や貸倒率に左右されにくい「筋肉質な経営体質」へとシフト可能です。

オンラインで信頼を築く「京都発」ブランド戦略

本社所在地が京都市であることから、アイフルは「京都発の金融サービス」というブランドアイデンティティを持っています。無人店舗をなくす一方で、オンライン上でいかに信頼を築くか が今後の重要課題です。具体的には、透明な手数料表示、審査基準や契約プロセスの明示、チャットや電話による即時サポートといった「デジタル時代の安心感」をどう提供するかが勝負どころです。

業界先行モデルとしての差別化

無人店舗の全廃は、競合他社との差別化戦略としても機能します。大手他社がまだ一部店舗を残している中で、アイフルは「完全デジタル移行」を宣言することで、先進的・効率的なブランドイメージを獲得しようとしています。業界全体が縮小均衡に向かう中でも、効率的なオペレーションと利用者体験の最適化を両立させることで、シェア拡大の余地を探っていると考えられます。

【初心者向け】無人店舗なしでも安心できる理由

無人店舗がなくなると聞いて、「これから初めて利用するけど大丈夫かな？」と不安に思う方も少なくありません。ここでは、初心者が特に気になる点をやさしく解説します。

スマホ1台で完結するWEB申込・カードレスローン

はい、可能です。アイフルは「WEB完結ローン」を推進しており、申込・審査・契約・借入・返済まですべてアプリやWEBで進められます。従来必要だったカード受け取りや店舗来店が不要になり、24時間いつでも手続き可能です。

審査基準は従来通り、結果はむしろスピードアップ

審査基準そのものが急に厳しくなることはありません。これまで通り、収入状況や信用情報に基づいて審査が行われます。オンライン化によって、むしろ結果が早くわかるケースが増えています。

カードなしでも使える！アプリで完結する借入・返済

カードを持たなくても、スマホアプリが「カード代わり」になります。振込融資や口座振替返済を利用すれば、物理カードがなくても問題なく利用可能です。最近は「カードレスローン」という形で利便性をアピールする金融機関も増えています。

返済方法はどうなるの？

返済は主に以下の3つです。

• 口座振替（自動引き落とし）
• アプリからのインターネット返済
• 銀行振込

以前のように店舗や専用ATMに行く必要はなく、手持ちの口座やスマホから簡単に返済できます。

充実した電話・チャットサポートで初心者も安心

無人店舗はなくなりますが、コールセンターやチャットサポートが強化されています。操作に困ったときや契約内容を確認したいときは、電話やアプリ内チャットからすぐに相談できます。特に初心者にとっては「困ったらすぐ連絡できる窓口」がある点が安心材料です。

まとめ：無人店舗廃止が意味すること

アイフルの「無人店舗」全廃方針は、単なる店舗削減ではなく、消費者金融業界における大きな転換点を示しています。

今後のポイント